『成功はゴミ箱の中に』
副題として、「レイ・クロック自伝 世界一、億万長者を生んだ男」とある。
レイ・クロックとは、知らぬもののいない世界一のハンバーガーチェーン、マクドナルドの創業者である。
本来ならば、ここでブログの話題などされることなく、紙袋に入れられてブックオフに持ち込まれる運命の本であった。
私はこの本を昨年後半に買って読んだのだが、訳文が「なめらかな日本語」とは程遠く、回りくどい文章をぐるぐる巡っているうちに、経営上のエピソードよりもレイ・クロックのアクの強いキャラクターばかりが目に付いてしまい、、なんとか本文をひと通り読んだところで放り出していたのだ。
(不良な訳というだけでなく、誤訳と思われる部分もあったが、比較すべき原書を持っていないため、個別具体的な指摘はこことではやめておく)
しかし、まさにこの本を購入した理由によって今日まで持ち続け、そして一転してこの本のためにPCに向かっている。
そもそも、この本のことを知ったのは、昨年の1月に発行になる前である。
本書の帯に仲良く並んで写っているユニクロの柳井社長、ソフトバンクの孫社長、どちらだったかは失念したが、新聞記事の中で「この本が自分にとってのバイブルであり絶版となっているのが残念でならない(10数年前に一度出版されている)」という旨を述べていたのを見かけ、普段は経営者の自伝などに読まないにもかかわらず何故か惹かれるところがあって、その切抜きをとっておいたのである。
これは、私が柳井社長や孫社長をいたく尊敬しているからというよりも、レイ・クロックがマクドナルドのビジネスを始めたのは50歳を過ぎてからだったいう話を聞いたことがあり、大器晩成を目指す自分としては(笑)、是非ともあやかりたいと思っていたからかもしれない。
いずれにせよ、期待に胸膨らませてページを開いた私は、前述のように大いなるストレスのもとで文字を追うこととなり、さらに、大器晩成の先達と崇めたかったレイ・クロックも、52歳までしょぼくれてミキサーを売り歩いていたわけではなく、若いうちから不動産やジャズクラブのピアニストや紙コップのセールスなどといった仕事のいずれでも強烈なバイタリティと行動力で高い成績を収めてきたこと(誇張も入っているだろうが)を知って、すっかり意気消沈したのである。そして、この本は「稀有な経営者による、真似できる部分の少ない、アメリカンドリーム信仰が鼻につく本」としてのみ記憶に残ることとなるはずだった。
しかし、推薦者として連名で帯を飾る両社長の対談「心に焼き付けた起業家魂とアメリカの夢」、そして柳井社長による解説「レイ・クロックの金言 私はこう読む」という合計50ページにも満たない2つの付録が、そのまま処分するのを思いとどまらせた。どこまで本人の言葉であるのは別として、日本を代表する経営者である二人がわざわざ名を連ねている以上、読まねば失礼だと思ったし、少しは元が取れるかもという予感もあった。何より、彼らによって興味を持った以上は最後までお付き合いしようと思ったのだ。
そうして今日、たまたま埋もれていたこの本に目が行き、すき間時間を使えという勝間和代の勧めに従って(と言いつつ昔からの習性だが)お風呂の中でページをめくり、そしてこうして画面に向かっている。
本書は、少なくとも邦訳版としてのこの『成功はゴミ箱の中に』は、両社長、特に柳井社長による付録によって完成されたひとつの本となっていると言ってよいだろう。巻末の限られたページの中に、日本を代表する起業家がレイ・クロックに向ける熱い眼差しとそこから得た「初心」がつまっている。そしてこの視線を経由することで、この本全体から得るべきエッセンスが輪郭を露にしてくるのである。
本文が肌に合わなくとも、まえがきやあとがきに宝物が埋まっていることもある。そんなことを感じた一冊であった。
(おまけ -自分で自分に感想- )
書評ではなく、訳&構成評というような半端な文章にになってしまいましたね・・・。今後は、本文の引用などもしっかりやらねばと思いました。でも、もったいないからアップしちゃいます(笑)
それにしても、小説だとそれほどの外れに出会うことはないのですが、ビジネス書における訳文との相性というのは本当に悩ましい問題です。やはり原書を読める英語力を身につけるというのが正しい道なのでしょうかね。
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